我が国の防衛力を支える装備技術の現状と方向性
政策研究大学院大学客員研究員 元防衛装備庁長官
渡辺 秀明 氏

「皆さんこんにちは」、というよりも「お久しぶり」と言ったほうがいいかも知れません。私の方は昨年7月末に退官してから、各方面からお声をかけて頂き、いろいろな勉強会に参加しております。そこで、多くの方々と議論させて頂き、大変勉強になっております。
本日は、わが国の装備技術の現状と方向性、そして課題もたくさんありますので、これらについてお話をさせていただき、また、皆さまからもご意見等を頂戴できれば有り難いと思っています。私も逐次、新しい情報を収集しているつもりですが、装備技術の動向は激しく動いていますので、今日は、皆さまとお話をさせていただく貴重な機会だと思っています。

 

一 北朝鮮の技術開発の急速な進歩と警戒を要するロシアの軍事技術

現在、日本周辺各国の装備技術はどのようになっているでしょうか。まず、北朝鮮ですが、米朝関係はこれから話し合いをしっかり進めていくことになっていますが、この先どのように展開していくかは不透明です。北朝鮮の動向について詳細に解説することはできませんが、ただ、これまで北朝鮮が積み上げてきた技術開発の実績と、ここ数年の急速な進歩については評価すべきものがあると思っています。弾道ミサイルについては、4発同時発射の実現により「飽和攻撃」の能力を大いに高めました。これは守る側からすると、幾つものミサイルに同時に対処しなければならないので大きな負担になります。
また、潜水艦発射型弾道ミサイルについては「コールドローンチ」技術の確かさと固体燃料を使用していることに驚きました。「コールドローンチ」とは、一旦高圧ガスなどでミサイルを射出し、その後にロケットエンジンを点火して飛翔させる技術で、潜水艦で使用する場合、浮上せずに海中からミサイルを発射することができます。何処から撃たれるか判りませんので、これに対抗するためには、常に潜水艦の位置を把握していなければなりませんが、守る側にとっては非常に難しくなります。

ロシアについてはプーチン政権になってから、最先端の軍事技術を導入して軍事力の強化を図っている傾向が強く見られます。特にステルス機については、PAK-FAステルス戦闘機の開発が終了したと言われています。プーチンが軍事工場を訪れて従業員を励ましている姿がNHKの報道にも出てきているように、政権の力の入れ方が変わってきているなというふうに思っています。また「極超音速ミサイル」、「衛星攻撃ミサイル」の開発にも力を入れ始めたということが言われており、アメリカの方でも警戒を強めています。

 

二 アメリカに肉薄する中国の先端技術

中国に関してはロシアよりもさらに装備技術の開発に力を注いでいる印象を受けます。まずステルス機に関してはJ-20戦闘機、J-31戦闘機の開発を終了して量産段階に入っています。中国の戦闘機の戦闘力に関しては色々な見方がありますが、J-20はアメリカのF-22、J-31はアメリカのF-35とほぼ同じレベルにあると言われています。
また、「対艦弾道ミサイル」を開発しています。これは衛星からミサイルをコントロールして相手の艦に命中させるというものですが、そのような技術を持つに至ったというのも驚きです。このような新装備が登場すると、米空母もアジア大陸には近づきにくくなると思われますが、運用の専門家の方にはどのように受け止められているのかお聞きしたいところです。中国の「A2AD 接近阻止・領域拒否」戦略の一翼を担っているのだと思われます。

空母については現在運航している「遼寧」の次は純国産を追求しており、既に製作の最終的段階に入ったと言われていますが、その後は、原子力空母に着手するということまで明らかにしています。また、国産空母の建造にあたっては高度な技術を必要とする「電磁カタパルト」の実現を目指していることも驚きです。空母においては「蒸気カタパルト」が普通ですが、敢えて電磁カタパルトに言及しているということは、技術を過信しているのか実際にそれなりの技術を持っているのか、このあたりのことは分かりませんが、中国は最近、先端技術の面で激しくアメリカと競っているということだけは確かです。
先端技術では「高速コンピューティング」、「AI(人工知能)」、さらには「量子暗号」と、日本が置いていかれている分野で開発を進めています。「量子暗号」についてはすでに装備化したとも言われていますが、日米においてはまだ研究中のところと認識していますので、これがもし本当ならば「米国も中国に一歩先を越された」というだけではなく、これまでのように中国の軍事通信を米国が傍受して解読することは事実上、不可になりますので、その影響するところは意外と大きいのではないかと私は捉えています。

 

三 アメリカの伝統的な「オフセット戦略」の展開

このように各国が軍事面での装備技術の開発に努めているなか、アメリカがこの状況を黙って見ている筈はありません。アメリカは第2次大戦後一貫して「オフセット(脅威の相殺)戦略」を続けています。
1950年代に、ヨーロッパにおいて東西の軍事バランスの崩壊を防ぐため、圧倒的に優れた技術を開発することによって優位を保つことを狙いとして、アメリカは最初の「第一オフセット戦略」を発動しました。このときは第2次大戦後、NATO軍の兵力がかなり縮小されたのに対し、ソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍はこれまでの規模を維持していたので、両者の軍事バランスが非常に悪くなっていました。これを防ぐためにアメリカは核を小型化して、核爆弾を戦略爆撃機や弾道ミサイルに搭載できるようにしてオフセット(相殺)を成し遂げたわけです。

次の「第二のオフセット戦略」というのは、精密誘導兵器の技術をアメリカが開発し、ピンポイントで相手の軍事的拠点を叩くことにより、圧倒的な優位を確保するに至ったもので、中東戦争においてその成果を証明しました。
ソ連も当時、多額の資金を軍事技術開発に注ぎ込み対抗しようとしましたが、この頃アメリカは「デュアルユース技術(軍民両用の技術)」というものをうまく活用して、既に民間が開発してきた技術基盤の上に立って軍事技術の開発を図り、お金をあまり使わないで精密誘導兵器の技術を手に入れました。ソ連にはそのような民間の技術はありませんでしたので、基礎技術の開発から始めなければならず、そのため多額の費用がかかり、そのことがソ連を崩壊に導いた原因のひとつだとも言われています。
オフセット戦略において重要なポイントは、まず「ゲームチェンジャー」と呼ばれる従来の流れを変えるような技術を獲得することです。しかし、ただ獲得するだけでは意味がありませんので、当該技術を用いる作戦の構想を確立して、運用を担う軍人が技術に習熟して実行していかなければなりません。
この延長線上に立って、オバマ政権で国防長官を務めたヘーゲルは「国防革新イニシアティブ」を始動させ、そしてそこに含まれる一連の取組みが、やがて「第三のオフセット戦略」へと展開していくことになります。ここで新たな要素として「人間と機械の協調技術」が重要だという認識が生まれました。この結果、AIやビッグデータ、そして3Dプリンターなどのアメリカの技術が市場に出回るようになり、これらが今後の鍵になるだろうと言われています。

ヘーゲルの後を受け継いだカーター前国防長官は、これらの技術を獲得するためには「国防省でただ待っているのではなく、シリコンバレーに自ら出かけて行かなければならない」ということで、シリコンバレーに初めて先端技術導入のための国防省の支所「DIUX(国防革新ユニット)」を設置しました。「X Experimental」というのは「実験」ということです。
政権交代後も、グーグルの優れた技術を導入しようという動きなど、オフセットの流れは続いていますが、今年の1月、トランプ政権の新しい国防戦略「米国新国防戦略」が発表になりました。ここでは「核戦力をもう一度、重要な戦略の一環として位置付ける」という主張が色濃く出ています。中国、ロシアをかなり意識しており、新たに核戦力を見直そうというものです。その他の領域については従来の流れを受け継いでおり、宇宙、サイバーの他、「C4ISR Command・Control・Communication・Computer・Intelligence・Surveillance・Reconnaissance(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)」などがあります。

アメリカでは「オートノマスAI(自律的人口知能)」を使った技術が重視されてきています。これを支える技術に「アドバンストコンピューティング」という高速計算を可能にするコンピューターがあります。これは「ペタビット」という10の12乗という高い計算能力を有し、いわゆるスーパーコンピューターを小型化して使っていこうとするもので、暗号などにも関係してきます。
それから「ビッグデータ」、「ロボット」、高出力レーザー・レールガン・量子ビームなどの「指向性エネルギー」、そして「極超音速(Mach5を超える速度)の飛翔体技術」などが注目されていますが、これについては元々、アメリカが先んじていたわけですが、今は中国が非常に進んでいて、アメリカは一気に後れを取り戻そうとしているところです。マッハ5以上のスピードで飛翔するミサイルが主体になりますが、中国は今、マッハ10以上のところを目指して技術開発を行っているとされています。

 

四 日本の防衛装備技術の現状

◇防衛装備庁の設立と装備行政の4つの方針

それでは日本の現状についてお話ししたいと思います。防衛装備庁が2年半前に設置されましたが、これは、わが国の防衛装備技術に関し、周辺各国の装備技術の動向を見ながら、革新的な取り組みを図るべく、組織そのものから見直したということです。内部部局、技術研究本部、装備施設本部、それから陸海空自衛隊の主に技術サイドの人たちを取り込んで、約1800人の人員をもって発足しましたが、そのときに4つの方針を示しました。一つ目は「一歩先んじた技術力の保持」ということです。これは日本が全ての分野で先端技術を保持しようというものではなく、日本の得意とする分野についてはしっかりと伸ばしていき、技術的優越を確保できるレベルを保持していこうというものです。そのためにまず「技術戦略」を策定することが必要になりますが、その際、二つ目の「プロジェクト管理」ということが重要になります。得意分野といっても、高級なものばかりを開発し続けていくと予算的に厳しい状況に陥り、装備化が難しくなりますので、なるべく低コストで取得できないかなど管理面の工夫が必要になります。それから三つ目は、やはり日本独自で開発するのが難しい分野もたくさんありますので、「諸外国との装備技術協力」ということが重要になります。そして最後の四つ目として、今述べた三つの方針を確実に進めていくため、「防衛生産基盤の強化」が必要になります。

◇取得戦略計画の策定

先ほど「プロジェクト管理」ということを紹介しましたが、実は装備庁設置の原動力になったのがプロジェクト管理の必要性でした。技術開発をたくさん推進することよりも、まず研究開発、そして取得、維持管理、廃棄という流れを一貫して管理できる組織を創らなければなりません。これについては、内局が担当していましたが、単にチェックをしているというだけで、実際に業務をするのは各機関、各組織になります。当時、装備施設本部と技術研究本部は全く別のことを考えていましたから、そのあたりから統合させていかなければなりませんでした。
業務の改革も同時に進めまして、取得改革を推進し、装備品のプロジェクト管理、要するにコスト管理を行うために「取得戦略計画」というものを策定しました。ホームページ上でも紹介していますが、SM-3ブロック2能力向上型迎撃ミサイル、中SAM、グローバルホーク無人偵察機、F-35戦闘機、オスプレイ、新しい艦艇などがあります。

取得管理については、はじめにニーズを算出して所用の技術を取得し、その後は、もちろん振れ幅はありますが、「ライフサイクルを通じた管理」を主体として一定のベースに則って管理します。このことを中SAM(改)の例で説明しますと、コストの見直しを進めながら中SAM(改)の能力向上を図り、結果として取得コストを低減させることができました。これは低高度で侵入してくる巡航ミサイルの脅威に対処できるミサイルを追求して、アメリカでの発射実験などを重ねて成果を上げたものですが、直撃で撃ち落とす確率はかなり高くなっています。このように、素晴らしい成果を実現できたということで、関係者のみならず米国側も驚いたことと思います。

艦艇については「艦艇建造基盤」に問題を抱えていると言われています。艦艇の場合は、一般競争で「コストが安ければいい」ということが慣行になっていたので、そこのところを見直そうということで話し合いました。30年度の新しい艦艇「護衛艦30DD」、これは小型の艦艇ですが、高い能力を要求されており、これが一般競争に懸けられて製作費が安くなってしまうと、能力的にも下げざるを得ませんので、入札で競い合いながらも技術的な優位性を確保できるような仕組みにしてもらいました。このため、国会等を含め関係者の方々に説明して回ったわけですが「競争はしっかり行う」ということで理解を得ることができました。
従来の一般競争のやり方とは少し異なりましたが、ただ海上自衛隊の人たちは自分たちが望んでいたものを導入できるようになるので非常に喜んでいました。このような取得方式も一つの考え方として続けていってもらいたいと思います。
それから、競争に参加した会社がただ競うばかりではなく、ある程度連携して組むことができるようにもしました。これについては、一部のマスコミ等から批判の対象になりましたが、これをしないことには「艦艇建造基盤」を適切に維持することは困難だと思います。このように少しでもよくなればと考えていろいろ具体化してきたつもりです。

◇技術戦略の策定~技術優越の確保と優れた装備品の効率的な創生~

次に技術の話に移りたいと思います。「技術戦略」については「技術優越の確保」と「優れた装備品の効率的な創生」という二つの目標があります。技術的な優越だけではなく、コスト的にバランスが取れた形で物を作っていく必要があります。そして、「技術戦略」において、「技術的な優越」の中に「ゲームチェンジャー」と成り得るような、わが国の先進的な技術というものを提示していくことが必要になります。
このような観点から防衛装備庁としては、我われが自信を持って推進できるものも含めて何千と数ある技術の中から、57件の「将来装備技術」、21件の「将来に可能性ある技術」を抽出しました。よくこのような場合には「有識者に聞いて選びます」ということになりがちですが、ここはやはり、研究所も有している我われ自身で選択すべきだろうということで、抽出作業を進めていきました。
 57件とか21件とかの技術はそれだけでは多すぎますので、さらに統合整理して、4つにまとめて管理していきます。「無人化」、「スマート化」、「ネットワーク化」などですが、これらについては、AIをはじめ情報とコミュニケーションなどについて進んだ取り組みをしていく必要があります。それから、「高出力エネルギー」例えばハイパワーレーザーなどがありますが、いずれにしても現有装備について新素材とかいろいろなものを通じて機能・性能を大幅に向上することを考えながら、これら4つの取り組みを推進していきます。

「無人化」についてはドローンがすぐに想像されますが、ドローンだけではなく例えば無人の水上・水中航走体などが考えられます。相手の潜水艦を探知する場合、こちらは潜水艦だけではなく、水中を航走する航走体を活用することは重要な要素となると思われます。
このように、中長期的に重要と考えられる技術については、中期の技術見積に取り上げております。例えば、AIの技術とビッグデータを解析することで、高性能赤外線センサーによる精度の高い画像を検出する技術が考えられます。潜水艦の望遠鏡に赤外線を使うことにより、海上の小目標を探知することもできます。また、高出力レーザー、それからEMPというウェポンも研究しています。

研究開発に関しては「中長期的にビジョンを持って開発する」ということが重要になりますが、今のところは「将来無人機」に関する中長期的ビジョンは策定していますが、今後は「将来戦闘機」というものについても取り組んでいく必要があると思います。
「将来戦闘機」に関しては「先進技術実証機X-2」というものを開発し、ステルス性とか高運動性というものを検証しました。先進技術実証機が飛んだということだけがニュースになり、その後は「すごくいい性能でした」という話は聞きませんでしたので、少し残念に思っています。国産技術の良さを一般のメディアに対してもPRする機会があると良いと思っています。

 

五 安全保障技術推進制度による民間技術の支援~大学・独立法人・会社等との連携~

「安全保障技術推進制度」という、防衛分野における将来の研究開発のため、民間の方からも優れた技術を提案してもらおうということで、新しいファンドを防衛省として設立しました。これは民間の技術をうまく取り入れるように、防衛省側から大学とか独立法人に対してテーマを提示して「優れた技術はありますか」と問い合わせて提案をしてもらう試みでかなり話題になりました。ただこれに関しては、大学の方々になかなか受け入れてもらえないところがありますが、民間企業や独立法人はかなり積極的に対応してくれているようです。大学に関しても学術会議の思惑と違って応募してくれるところも出てきています。一部の大学の先生方の懸念は、防衛省が関与することによって研究成果の公表ができなくなるのではないかということですが、得られた成果を公表することとしており実績は着実に出てくることとなると思います。
例えば、海中におけるワイヤレス通信、ワイヤレスの電力伝送というものがあります。海中では電波は通じませんので、電力の伝送はなかなかできないといわれていますが、パナソニックと九州工大から「海中のワイヤレス伝送はできる」という提案を受けて、水中無人機などを使い、一つひとつ海上に浮上しなくても「給電」できるということを実証していこうとしています。

研究開発全体を国の予算上からみたときはどのような特徴があるのでしょうか。現在は文部科学省がだいたい55パーセント程度、経済産業省が15パーセントぐらい、この両者で70パーセントを超えますが、防衛省は7番目ぐらいに位置しておりウェイトはかなり小さくなります。防衛省の研究開発は皆さんから理解されていない部分もあり、よく「どのようなものですか」と聞かれることがあります。他の国の研究開発費がどれぐらいの額かということを3年前の27年度について紹介しますと、アメリカは国防研究開発費だけで7兆4千億円、わが国のトータルの研究開発費3兆8千億円の約2倍になっています。研究開発の規模が全然違うということを理解せずに議論して「アメリカはこんなに研究開発が進んでいるのに、日本ではなぜできないのか」と言われることもありますが、7兆円と千数百億円の違いですからできないことはたくさんあり、むしろどうやってそこを補っていくかというのが課題なのです。このように見ていくと、先ほどから述べているように、他省庁及び他機関と連携していかなければならないのは自明の理だと私は思っています。

 

六 日本のデュアルユース技術(軍民両用の技術)の現状

これまで見てきたように、装備技術の多種多様化、高価格化が進む中、「デュアルユース技術」はそのような制約を打開する可能性を持っています。軍事専門の技術を他の組織と連携して進めていくのはなかなかできませんので、他の国においても最近は、デュアルユースの技術が国防の中核になりつつあります。「デュアル」というのは民生と軍事の中間にあるという意味ですが、この部分のウェートが大きくなってきたということです。また、「スピンオン」と「スピンオフ」という言葉があります。民間の技術をうまく使うのを「スピンオン」と呼びます。「スピンオフ」というのは軍事技術から民間に移転する部分のことをいいます。我が国の場合は「スピンオン」がほとんどになります。「スピンオン」でなんとか防衛面での技術を補っているわけです。
日本の防衛産業は防衛以外の技術もいろいろ多く手掛けていますので、その部分を上手に活用して、これまで何とか先端的な技術にアプローチすることができたと思っています。今後はAIとかビッグデータとか一見防衛から遠ざかっているようなものが、むしろ防衛の核心になっていくというように思われますが、防衛省においては今まで、AIやビッグデータそのものを研究しているということはありませんでした。他省庁では、AIを研究する組織として、経産省や文科省それから総務省などで共同研究機関を立ち上げていますが、防衛省においても、こういった成果を取り込める仕組みを作っていく必要があると思います。

宇宙の分野については、「JAXA ジャクサ(宇宙航空研究開発機構)」と研究の方向性を揃えて連携していきましょうという取り決めをしました。また、海洋に関しても「JAMSTEC ジャムステック(海洋研究開発機構)」には以前断られたこともあり、なかなか先に進まないという状況でしたが、各部署への説得が功を奏し、「それでは一緒にやりましょう」というように急転しました。「まず何はおいても働きかけが重要だ」ということを痛感しました。
他省庁の方がたくさん集まった会議に私が呼ばれて説明した折に「何が問題ですか」と聞かれましたので「連携です」と答えました。各省庁には、省益のためには必ずしも私の言うことに全面的に賛成ではない人もいたと思いますが、このような働きかけの結果、「わが国の安全保障にとってデュアルユースは重要だ」という認識をある程度皆さんに持っていただきました。このように他機関との連携はもっと推進していかなければいけないと考えています。

 

七 各国におけるデュアルユース技術の現状

各国においてもデュアルユースに対する認識は進んできています。ただヨーロッパは、5~6年前に私がデュアルユースについて話した頃はそうでもなかったのですが、2~3年前から「EDA 欧州防衛機構」というところで、デュアルユース基金の運用を始めています。多額の資金を使って推進しようとしていますが、国防費とは別に費用を確保しているというところが重要です。デュアルユースを開発して民間でも活用しようという話ですから、国防費とは別に計上していると考えられますが、大いに着目すべき点ではないかと思います。アメリカはシリコンバレーに「DIUX 国防革新ユニット」を設置していることは既にお話ししましたが、これは今の政権でも続いています。「第三オフセット」という言葉はあまり使われなくなりましたが、このような考え方は現在に引き継がれています。

中国もデュアルユースについて「軍民融合政策」というのを強力に推進していますが、お得意のアメリカの模倣をこの分野でも積極的に推進しているように思えます。昔の日本にもそのような傾向はありましたが、中国は習近平を中心とした「中央軍民融合発展委員会」という組織を昨年設置しました。この目的は、軍民両用技術を強化して軍事力と経済力の同時増強を図るということです。文字どおりデュアルユースということなのです。それから軍事企業を分散複合化して競争力をつけるということですが、中国の場合は、アメリカのようにわざわざシリコンバレーまで出て行かなくても、共産党が直接に働きかけると、民間企業のほうから「もろ手」を挙げて「しっかりやります」と言ってきます。アメリカのグーグルなどはものごとをすべてビジネスレベルで考えていて、国の安全保障だから一生懸命やるというわけではありません。それに比べて中国というのは有無を言わさずにやらせることができるので、そういう意味ではデュアルユースについても徹底してやってくると思います。軍民融合の「融合」は「フュージョン Fusion」、「インテグレーション Integration」と訳されていましたが、両用という二つのものを融合、統合させてしまうという考え方が進んできていると思われます。

アメリカ国防省で技術部門を担当しているグリフィン次官が、従来から発表してきたものに若干追加し、アドバンストコンピューティング、ビッグデータ、AI、オートノミー、ロボット、ミニチュアリゼーション、3Dプリンターなどの技術を明らかにしました。これらについては「民間で開発されている技術」を重視する色合いが強くなっており、その他にも、指向性エネルギー、極超音速などが見られます。
防衛装備庁は米国防省の「AT&L(調達・技術・兵站)」という組織をある程度意識して創ったところがあります。AT&Lというのは取得(調達)、技術、兵站を一括して行うということで始まりましたが、この組織は力を持ち過ぎるという認識がどうも国防省にあったらしく、また議会からも目を付けられているという話まであり、これを分割してしまいました。取得(調達)と技術を分けてしまったのです。今はマイク・グリフィンが研究・技術担当の国防次官、エレン・ロードという女性が取得(調達)・維持担当の次官になって二つに分かれています。これについて国防省の人たちに話してみると「くっ付いたり別れたりしているので、またくっ付くよ」と言っていましたが、そういうものかも知れません。陸海空の軍の方から見ると、防衛省の内局に相当するこの組織が、機種選定からすべてやってしまうというようになっていましたので、何とか力を削ぎたいという考え方もあったようです。

アメリカとしてはデュアルユースを特に打ち出しているわけではありませんが、自律無人システム、AI、バイオテクノロジー、サイバー、電子戦、極超音速など、このような技術は国防省だけにとって重要ということではなくて、日本も含めて世界の国防産業にとっても関心が高い分野であるということは間違いありません。これからデュアルユースをどのような機関が進めていくのかが関心事になりますが、先ほどお話ししたDIUXはそのうちの一つであって、その他に陸軍のオープンキャンパスという研究所があります。さらに「インクテル IQT(In-Q-Tel)」というCIAがコントロールしている機関があります。あまり馴染みはないのですが、多額の金を投資する有名な機関で、国防省と民間産業との間をつなぐ役割を担っています。

 

八 防衛生産技術基盤の強化

◇装備品の取得単価の上昇による装備品調達への影響

話は変わりますが、将来「防衛生産技術基盤」を強化していくためには「どのようなことを考えていかなければならないか」ということについてお話ししたいと思います。急に現実の世界に戻っていく感じになりますが、「調達の課題」として、装備品の取得単価が高価格化し、さらにそのために維持管理費が高騰しているということが言われています。その結果、ご存知のとおり、新規装備品の取得数の減少につながってきています。例えば、74式戦車が10式戦車になって価格が3.2倍になったとか、おやしお型潜水艦からそうりゅう型潜水艦に換わって1.2~3倍、早期警戒機E-2Cが先進型のE-2Dに換わって2.6倍と、このようなことになっています。当然高価格化・高性能化により単価は上昇していきますが、それによって、維持管理費もずっと上昇してきています。その結果、総費用が非常に高いものになってきており、このため、取得費用と逆転してくるところが出てきて、新規の取得が抑えられているのです。研究開発の分野にもこの影響が及んでインセンティブが薄れてきています。ここのところを何とか解決していかなければなりません。

◇予算制度の改善

「防衛生産技術基盤」についていえば、財務省との調整が重要になります。財務省の方としては予算をなるべく抑えたいものですから、「新たなニーズがあるなら、その装備をライフサイクルコストで示してください。実際に、中期防に入るようにシミュレーションしてから持ってきてください」と言うわけです。そして「それができないのなら新規装備の研究開発は、全く認められません」とこういう話になるわけです。ニーズサイドとしては、こうした制約のもとでは新たな提案を出しにくい現状になっているのです。少なくともある程度、装備化を前提としない「研究開発」を実施させてもらわないと、国内の技術が育ちません。育つ芽を潰されるわけです。このようなことを議論しなければいけないのは世界中で日本だけではないかと思います。以前、自民党の国防部会に呼ばれたことがありましたので、研究開発の現状を説明し「このような仕組みは早く撤廃してもらいたい」と言っておきました。防衛費の額そのものを大幅に増大していただくということも出ていましたが、それはそれとして中期防で議論していただけたらと思いますが、先ほど述べた足元の問題にもしっかりと対応してもらいたいと思います。

◇民間会社との連携及び活用

「防衛生産技術基盤」を考えた場合、防衛依存度が50パーセントを超える企業もありますが、全体としては低く3パーセント或いはそれ以下の会社が多いわけです。防衛生産にとってはサプライチェーンが非常に重要になりますが、現在、国の防衛生産にかけるお金が少ないので撤退する会社も出てきている状況ですが、これに加えて「キーサプライヤー企業」が撤退すると全体に痛手を被りますから、そこのところはしっかりと分析しておく必要があります。例えば下請けの下請け、さらにその下請けと、そのようなものをサプライチェーンといいますが、その流れの中で、どこの会社がその役割をどこでどのように果たしているかということをきちんと割り出しておかなければなりませんし、また、チェーンのキーサプライヤーの貢献度も把握していなければなりません。遅ればせながら今年度中にはそのような作業が一段落するのではないかと思います。このようなことを着実に行った上で、諸々の対策を経産省とかと一緒に検討していくことを考えています。
また、中小企業の発展活用というのも重要なことです。日本の場合、いろいろな素晴らしい技術を持っている会社というのはたくさんあります。防衛省の方がまだ掌握していないところなどは、経産省等から機会あるごとに紹介してもらい、これまでも四半期毎に5~6社の会社と打ち合わせを行っています。また、防衛産業にきてもらい、ユーザーの前でプレゼンを行った後に実際に製品(装備)を展示してもらうということなども実施しており、このような地道な取り組みが必要になります。

◇「将来戦闘機」に見る防衛生産技術基盤の問題点

ここでどうしてもお話ししておかなければならないのは「将来戦闘機」への取り組みということです。これについては、将来戦闘機のビジョンを作って着実に研究を推進しているのですが、新聞報道等ではあまり明るくない話が書かれていて、なかなかに難しいという印象を与えています。しかし、なぜ難しいかということについては、報道を見ていても良く分からないところがあります。将来戦闘機については、先進技術実証機によって装備庁をはじめとして、ステルス性とか運動性を実証してしっかり確認しています。それから、大出力エンジン、軽量機体とか、こういったことに関しても各プロジェクトにおいて熱心に検討しているわけです。F-2を製作した後の空白期間が長く続いているようですけれども、このような状態が続くと、戦闘機の製造基盤というのはほとんど失われてしまいます。今のところ第5代戦闘機を製作するレベルはまだ保持していますが、将来は戦闘機を作ることができない国になってしまうかも知れません。ただ純国産以外で海外との共同開発はどうかという話もあるのですが、共同については日本が主体性をもって開発することができないと意味がないのではないかと思っています。特にアメリカとの共同開発で注意しなければいけないのは、相手側からの技術開示がなされない中で共同開発を安易にやると、そのところに不整合を生じて結果的に自前では維持管理できない高いものに付くとかいろいろなことが考えられますので、このようなところについてはしっかり主張しながらやっていく必要があると思っています。

自民党の中期防案の中にも「将来戦闘機」を取り入れるようにお願いしていましたが、骨子として最初に出てきた案に何も入っていませんでしたが、また関連会社のほうからもいろいろ働きかけをして、ようやく数行加えてもらいました。
FMS(対外有償軍事援助)でいろいろな物を購入しているので、それで費用が満杯というところがあって、確かに財政状態は厳しく財務省は非常に厳しい対応を示していますので、こちらについては、これでさらに一段とコスト削減等の努力をしないといけないと思います。とはいっても今のままでは「今後の戦闘機生産は望めなくなります」と三菱重工が言っている話が現実になってしまいますので、早期に何とかしなければなりません。ここでは、ひとつの象徴として「将来戦闘機」の話をさせていただきました。
本来的に、将来の装備としては、将来戦闘機、将来ミサイル、センサー、ネットワークといったところが非常に重要になり、宇宙、サイバーも重要だと言われていますが、こういったものを包括して防衛産業基盤を強化していく必要があるということを認識してもらいたいと思います。

 

九 装備移転の課題

最後に装備品の移転についてお話をさせていただきますが、現在、アメリカとは非常に良好な関係を保っていて、弾道ミサイルの迎撃型ミサイルの能力向上のための研究開発も最終段階を迎えています。これが終了すると日米共同開発はなくなりますので、全くないという状態よりは何か象徴的なものがあった方がよいと思います。将来戦闘機が日米共同としてうまくいけばそれはそれで良いと思いますが、ミサイルも非常に重要な技術なので、今回の研究開発に続く能力向上型を共同で取り組んでもよいのではないかと思っています。

装備移転について一般論になりますが、まず各国の状況に応じた情報収集とか人材育成とかが重要になります。装備におけるパッケージの技術協力というのは相手側に対しても支援しなければなりません。物だけ移転すれば済むという話ではないのです。そういう全体パッケージを考えて、向こうで働く人材、整備もできる人材、このような人をきちんと育成していく必要があります。また、官民一体の態勢では経験の蓄積が重要になります。部品等のコンポーネントの技術であれば日本は得意なので、すぐにでも移転することは会社のほうでも歓迎するところですが、実際に移転するとなると日本ならではの難しい事情があります。具体的には、部品についての第三国移転の場合には、わが国の事前同意を相手国政府に義務付けることになりますので、これは相手企業に対してプレッシャーを与えることになります。日本企業の部品(製品)を選ぶと必ず日本政府の了解を求めなければならないわけです。ただ、今の制度では欧米企業が日本製品を使用した装備を諸外国へ輸出する際、日本政府が注文を付けている構図にもなりますので、将来的にはこれを撤廃しなければ円滑な装備移転は難しいのではと思っています。

それ以外にも例えば、日本版FMSを作ったらどうかという話があります。米国版FMSの場合は、米国政府が窓口になり、米国製兵器の取得や教育訓練等の役務を有償で提供を受けることができます。日本の場合、民間の入札に政府自ら乗り出すというのは慣例上あまり好ましくないと、いろいろなところで言われています。それでは民間ベースでやった方がいいのではないかということになりますが、それはそれで民間企業だけではさまざまな観点からやりにくいところも出てくるのではないかと思いますので、いずれにしても慎重な検討が必要ではないかと思っています。例えば装備移転専門会社を作るとかも検討の対象ですが、これらについてはさらに議論していただくと有り難いと思っています。

アメリカからいろいろ要求されている中には「産業情報セキュリティの改善」ということがあります。この話は以前から指摘されており、F-35のときも相当うるさく言われてどうにか対応している状況です。これからは他にもオスプレイ、グローバルホークなどいろいろな兵器が出てきますので、これらに関してしっかりした対応が求められることになります。わが国としては、電子メール対策、サーバー内の暗号化、セキュリティのためのNIST(国立標準技術研究所)による工業標準化を導入して米国政府と足並みを揃えていこうという話にまで進んでいます。これ以外にも米国企業はクリアランス(身元保証)というものを求めて来ており、下打ち合わせをするときなど、「日本企業はクリアランスがないから込み入った話はできない」ということも言われています。
このようなことは、例えばAIなど、今後先端的な技術の取扱いになればなるほど要求されてくるのではないかと思います。米国企業の中には、日本企業を使いたいと思うところと排除したいと思っているところがあると思われます。少しせめぎ合いになるかも知れません。いずれにしても、厳しくなるセキュリティに対して巻き込まれていくことになると思われます。特に今後IOT(モノのインターネット)がどんどん進んでいきますと、どこまでが民間で、どこから先が防衛か分からなくなってきます。インフラの防衛にしても、日本では民間に任せていますけれども、本当にそれでいいのかという議論があります。そのようなことについては、さらに細かく話し合っていく必要があると思っています。

 

十 「クロス・ドメイン(多次元横断)防衛構想」~宇宙・サイバーへの取り組み~

今回の中期防における自民党の提言の中で、宇宙、サイバーを含めた「クロス・ドメイン(多次元横断)防衛構想」というのが打ち出されています。
宇宙・サイバーに加えて、陸海空という従来の領域にとらわれないで自衛隊を統合的に運用しようという試みで、従来の組織とかシステムに横断的なネットワークを構築しようというわけですが、これはかなり難しいことになります。暗号区分とか秘区分が違いますし、アクセス権限はどうするのかということも出てきますので、そうすると「組織間でどのようにして情報を共有するか」というルールを作らなければいけないなど課題は多くあります。宇宙・サイバー空間といった複数の領域にまたがって攻撃或いは防衛を行いますが、その中でも特に宇宙に関する事項を明確にしようとしています。
各国ともどちらかというと、宇宙というのは国防省が主体的に取り組んでいるわけですが、日本は軍事面というより安全保障の観点からの取り組みが主になっているので、防衛省にお任せではなく、より広い立場でそのような議論、認識が深まれば好ましいと私は思っています。

宇宙を防衛の観点から見た場合、情報収集、警戒監視、さらには通信手段確保の3つの機能が考えられますが、衛星について見てみますと、通信衛星は3万6千キロメートルの高度から、画像収集衛星はもっと低い高度から活動することになります。
日本では防衛省がJAXA(宇宙航空研究開発機構)と協力して、赤外線センサーを新しい衛星に搭載して性能を確認しようという研究を開始しています。将来的にはJAXAが先進光学衛星を打ち上げるときには一緒に搭載してもらう話ができています。その他に航空自衛隊が主体となって取り組んでいるのが、近年増加している宇宙デブリ(ゴミ)を除去しようという問題です。また、防衛省とJAXAが連携して日本としての態勢を整えて、米軍と情報交換しようとする枠組みも検討中です。防衛省・自衛隊とJAXA、そして米軍が情報を共有するとなると、これはわが国の安全保障を一段と高めることになります。やることはまず宇宙デブリ(ゴミ)から始めますが、JAXAには文科省や経産省出身の人がいますので、今後の衛星開発など、将来においても非常にいい関係を築いていけるのではないかと思います。

今後は画像収集衛星とか電波収集衛星などに取り組んでいく必要があります。このような衛星利用は今までなかなかやって来なかったので、今直ちに防衛省の中で積極的に宇宙ニーズを出すということはありませんが、他機関との研究協力或いは調査研究によって、どのような利点があるかということを理解することが第一歩になるわけですので、そこからスタートしていく必要があると思っています。
「あすなろ」という光学衛星は高分解能のよいデータを持っていますが、これは研究開発衛星として開発したもので実用衛星ではありません。防衛省が実用化すると非常に役に立つものができるのではないかと思います。さらにJAXAでは面白い研究を行っており、「つばめ」というSLATS(超低高度衛星技術試験機)と呼ばれる、高度を可変できる特殊な衛星技術を研究開発しています。この衛星は下降して高分解能の画像を取った後、また上に上がっていくことができるものですが、このように、技術をうまく活用していくことが重要ではないかと思っているところです。
キャノン電子が新しく衛星への取り組みを開始したので画像を見せてもらいました。公称1メートル単位と言われている高分解能画像で、100パーセント近くは自社で作っており、このような技術をまだまだ日本の企業は持っています。

アメリカをはじめ世界では、さらに小型の衛星を民間も含めて多く打ち上げ、それを管理していこうという動きがあります。こうなってくると民間ビジネスの中で日本がどこまで生き残れるかということが重要になります。
ワンウェブというソフトバンクの孫正義氏が投資している会社がありますが、この会社は人工衛星から電波を飛ばして通信インフラのない地域にもインターネットを届ける技術を開発しており、クアルコムやエアバスといった通信会社やメーカーが続々と投資しています。ただ日本の技術には何も投資していませんので、日本の会社ならば日本の技術に投資して欲しいと思っています。この事業では、世界で900機以上の低軌道の衛星を宇宙へ打ち上げて、それを活用してリアルタイムのネットワークを完成させます。そうすると今までにない様々な新しいイノベーションを起こしていく可能性が高まります。日本の衛星製造会社も、このようなことを意識して方向性を打ち出して欲しいと思っているところです。

全体的な話は以上です。これまで、デュアルユースとか先端技術の交流、安全保障に関しては政府横断的にやるべきだという話をしてきましたが、そのためには司令塔のようなものが必要なのではないかと私は前から言ってきています。アメリカでは、ディフェンス・サイエンス・ボードとかディフェンス・イノベーション・ボードとかのアドバイザリー機能が政府にあって機能していますので、このようなことについても、今後の方向性を議論していただく必要性があるのではないかと思っています。
私からの話しは以上で終わりますが、続いて皆さまからのお話を聞かせていただければと思います。ありがとうございました。

平成三十年六月六日 公益財団法人日本国防協会 国防問題講演会講演録より