日本国防協会

[第5回国防講座]
核兵器と通常兵器の役割 ~shaping・decisive・sustaining・Operation~
冨澤 暉 氏(東洋学園大学名誉教授、元陸上幕僚長)

2016年10月、国連総会において、「核兵器禁止条約の交渉の開始」を決めたオーストラリア・メキシコなどが主導する決議を123カ国の賛成多数で採択した。核保有国の米英仏露の他、日本を含む38カ国が反対、中国を含む16カ国が棄権した。他方、日本主導の「核兵器廃絶決議」もその同日に167カ国の賛成を得て採択された。「核廃絶」を主導しながら「核兵器禁止条約交渉開始」に反対する日本の態度について日本の識者の意見は割れたが。平和安保法制審議時に比べるとデモなどもなく、一般国民は静かであった。「日本の反対票」に国民は暗黙の了解を与えた、ともとれるが、本当に国民は本問題の本質を理解していたのだろうか。 &nb

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[第4回国防講座]
軍事の変遷 ~国家間決戦なき時代の軍事~
冨澤 暉 氏(東洋学園大学名誉教授、元陸上幕僚長)

1.20世紀の軍事とその時代区分 いうまでもなく、第2次大戦までの世界は多極時代であった。その時々により、何がしかのランキングはあったが、各国とも努力次第ではそのトップに立つことも夢ではないと考え、互いに鎬を削っていた時代である。無論、単独での戦争は難しいので、いわゆる合従連衡を繰り返してはいたが、現今の同盟とは意味が異なり、「昨日の敵は今日の友」でありその逆もまたあり、というものであった。 1945年、第2次大戦終了後は米国中心の一極時代がやってきた。勝者連合の一員であるソ連、中華民国、イギリス、フランスなども疲労困憊の体で本当の勝者とはいえなかった。当時の経済・軍事・技術のあらゆる分野にお

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[第3回国防講座]
安全保障とその手段 ~国家安全保障と国際安全保障~
冨澤 暉 氏(東洋学園大学名誉教授、元陸上幕僚長)

 1.安全保障とは 前回の講座で「安全保障とは何か」について見てきたが、本日は一部重複するのを厭わず、更に詳細に考察していきたい。まず、安全保障手段の大分類としては次の4つが考えられる。一つには「価値を獲得・保有しない(失うべきものを持たない)」。個人なら出家・世捨て人、国家なら鎖国となるが、現代に鎖国はあり得ない。二つには「脅威(敵)をなくすか、またはその力・意思を弱める」。通常、武力によって実行されるもので、現代でも各国の安全保障手段の主力であり、抑止概念をも含みこれを一般に「軍事・防衛」という。三つには「被害を最小限にし、更に回復する準備をしておく」。危機の発生に備えて常に準備されるべき

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「今、なぜ憲法改正が必要か」
麗澤大学教授
八木 秀次 氏

はじめに ~法改正の重要性~     ご紹介いただきました八木です。 私は大学院の博士課程で憲法を専攻し、修士課程までは法哲学や法思想を学んでいた者です。これは、日本の憲法学者が歩む一つの典型的なパターンです。基礎的な法律の考え方を習得してから憲法の具体的な領域に進むということですが、右でも左でもそのような経歴を経た人は結構います。 私は日頃、大学で憲法を教えつつ法改正の仕事にも携わっています。たまたま今日の新聞に載っていますのでご紹介しますと、「成人年齢18歳閣議決定」、「相続に関する民法改正案で配偶者優遇」などの記事があります。「森友関連の公文書改ざんの問題」を大きく取

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[第2回国防講座]
個人と国家と世界 ~独立(自由)と平和(秩序)~
冨澤 暉 氏(東洋学園大学名誉教授、元陸上幕僚長)

 1.個人の「自由と平和」を守るために国家(社会秩序)が存在する 人間(個人)は誰でも、他人から支配されることを好まず、「独立」して「自由」に自ら発展することを望む。しかし、そういう人ばかりが集まり競争社会をつくると、必ず争いが起きて互いに不幸なことになる。そこで人間は、その形づくる社会に、適切な「秩序(法律、規則、道徳など)」をつくり、その範囲内での争いの少ない「平和」な生活を営もうとする。 この秩序を支えるものとして、構成員を納得させることのできる「論理と権威」と構成員に強制する「力」の二つが必要である。論理と権威には、各社会(国家)の歴史・文化に根ざしたものがあり、一般に西欧発の形式をと

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[平成30年9月国防問題講演会]
平成30年版防衛白書について
防衛省大臣官房企画評価課長
品川 高浩 氏

平成30年9月の国防問題講演会は、「防衛省大臣官房企画評価課長 品川 高浩 先生」をお招きします。 先生は、東京大学法学部を卒業、平成5年防衛庁に入庁され、平成17~20年にわたり在中華人民共和国日本国大使館一等書記官を務められた後、防衛政策局、人事教育局、大臣官房を経て、平成27年、人事教育局人材育成課長、平成29年、情報本部分析部長を歴任され、本年8月に現職に就任されました。   当日は「平成30年版防衛白書について」という演題で、ご講演して頂きます。多数の皆さまの御来場をお待ちしています。   記 日時:平成30年9月12日(水)15時~16時30分 会場:TKP市ケ

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[日本の国際化と平和について]
駐日サンマリノ共和国特命全権大使
マンリオ・カデロ 氏

  皆さんはじめまして。今日は誠にありがとうございます。 サンマリノ共和国は、ヨーロッパで設立された一番古い共和国です。今から1700年前、日本では卑弥呼の時代にあたりますが、建国されました。ヨーロッパにはいろいろな国がありますが、サンマリノはイタリアの中にある小さな国で、山の上に建国されているので外からはなかなか攻めにくく、宝物もそんなにありませんでしたので、そのような理由から何百年、何千年にもわたって周囲の国から侵略されることはなかったのでしょう。そして、昔から王様と貴族はいませんし、サンマリノの人たちは割とおとなしくのんびりしていたので、長い間、現在の共和国を守ってくることがで

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[現下の世界情勢と日本の歩むべき道]
第8代ユネスコ事務局長
松浦 晃一郎 氏

  一.はじめに 皆さんこんにちは。ご丁寧なご紹介をいただき恐縮に思っています。 今日は「現下の世界情勢と日本の歩むべき道」ということでお話をさせていただきます。これまでの国防問題講演会の一覧を拝見しますと、ちょうど4年前に、外務省の先輩の岡崎久彦氏が「現下の国際情勢と日本外交」という演題でお話しになっておられます。残念ながら、どういうお話をされたか詳しくは存じませんが、岡崎さんは私の尊敬する先輩の一人で、安倍総理にも近い方で、きっと立派なお話をされたと思います。 今回、私はあえて「日本の歩むべき道」という表題にさせていただきました。出だしの「現下の世界情勢」というところは、岡崎さん

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「憲法9条の改正と自衛隊」
衆議院議員 元防衛大臣
中谷 元

  今、自民党の中では、「憲法9条をいったいどうするのか」という課題が今年の最大の政治テーマになっています。「憲法9条は改正しなければならない」ということは、もう皆さまに改めて説明する必要はないと思います。 まず9条全文を紹介します。「一 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。二 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」     憲法9条の原点   憲法9条の原点はポツダム

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「朝鮮半島・東シナ海をめぐる情勢と日本の防衛」
衆議院議員 元防衛大臣
中谷 元

  まずもって日本国防協会の会長として、大勢の協会の皆さまにご支援をいただいておりますことにつきまして、心から感謝と御礼を申し上げます。 昨年は酉年ということで、酉は干支でいいますと10番目の年ですが、酉という漢字は物が成る、物事を収穫するという意味があります。今年は戌年ですが、戌は11番目ということで漢字の上でも、酉を得たあとその先に向けて整えるという意味があります。2年先といいますと2020年になるわけですが、オリンピックもあり、また天皇陛下の御退位に伴う新しい元号制定もあり、平成の時代が終わり次の時代へと向かいます。一つの区切りとして、2020年に向けてしっかり態勢を固める一年

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