憲法改正を阻む日本人的発想
作 家
井沢 元彦 氏

井沢元彦と申します。本日は当講演会でお話しする機会をいただき有り難うございます。ここグランドヒル市ヶ谷は、昔は軍の施設でしたが今はホテルとなっており、結婚式のためのチャペルもあるということを聞いています。 結婚式といえば、キリスト教における「誓いの言葉」を、皆さん一度は聞かれたことがあると思います。はじめに、このことについて少しお話ししたいと思います。今、ここを教会の結婚式場だとします。十字架があり、目の前に神父と新郎新婦がいるという設定です。神父はまず新郎の男性に「あなたはここにいる女性をよきにつけ悪しきにつけ、富めるときも貧しきときも、健やかなときも病のときも変わらぬ愛を誓い、死が二人を別

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「自衛隊明記論に問う」
~真の憲法9条改正を目指して~
元陸上自衛隊幹部学校副校長
上村 邁

「自衛隊を憲法に明記する」という憲法改正案が国会に提出されようとしている。外国でも多くの国が憲法で軍隊を明記していることからすれば、一見もっともなことのように思えるが、こと日本においては、話はそう簡単ではない。言うまでもなく、「戦力は持たない。交戦権は認めない」という憲法9条2項の存在を避けて通れないからである。世界にも類を見ない憲法の条文ではあるが、先の大戦を教訓とし、平和国家の理想を掲げて国際社会に再登場せんとした戦後日本の決意を象徴するものである。そして、その選択が間違っていなかったことは、戦後70年を過ぎた現在の日本の立ち位置が明らかにしている。世界に受け入れられた平和国家のイメージ、

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「憲法改正の課題-憲法9条に『自衛隊』を明記する案について-」
福山市立大学講師
安保 克也 氏

  はじめに 北朝鮮の核やミサイル問題、中国による海洋進出など、日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。そのため、政府は地上配備型迎撃システム「イージスアショア」の導入予定である。我が国の防衛に重要な問題がある時期に、何故、「憲法9条に自衛隊を明記」する憲法議論を行うのか、私にはまったく理解ができない。本来であれば、自衛隊明記よりも、厳しい安全保障環境を考えれば、憲法9条2項の問題に着手する憲法議論をすべきだと考えるからである。しかし、「憲法9条に『自衛隊』を明記する案」(自民党憲法改正推進本部)が改正案である以上、憲法改正に賛成の立場から、自衛隊の明記案に対して批判的な考察とその対応について検討

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「今、なぜ憲法改正が必要か」
麗澤大学教授
八木 秀次 氏

はじめに ~法改正の重要性~     ご紹介いただきました八木です。 私は大学院の博士課程で憲法を専攻し、修士課程までは法哲学や法思想を学んでいた者です。これは、日本の憲法学者が歩む一つの典型的なパターンです。基礎的な法律の考え方を習得してから憲法の具体的な領域に進むということですが、右でも左でもそのような経歴を経た人は結構います。 私は日頃、大学で憲法を教えつつ法改正の仕事にも携わっています。たまたま今日の新聞に載っていますのでご紹介しますと、「成人年齢18歳閣議決定」、「相続に関する民法改正案で配偶者優遇」などの記事があります。「森友関連の公文書改ざんの問題」を大きく取

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「憲法改正案について考える」
元 陸上自衛隊 北部方面総監
廣瀬 誠 氏

憲法改正の議論の中で、憲法9条1項と2項をそのままにして、自衛隊を書き加えるという「加憲案」が有力視されているように見えるが、今後、国会の憲法審査会がどのように審議を進めていくか注目される。 現憲法は、占領下に制定されたものである。GHQは当初、わが国の非武装を考えていたと思われるが、東西冷戦の開始、朝鮮戦争の勃発はその「理想」の貫徹を許さず、在日米軍の半島派遣に伴い、わが国は警察予備隊、のちの自衛隊を創設するに至った。その時から、憲法9条の掲げる非武装の理念と現実に対処するための自衛隊の保持の関係について、その法的整合の議論が繰り返されてきた。 近年、わが国を取り巻く情勢が厳しさを増していく

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「憲法9条の改正と自衛隊」
衆議院議員 元防衛大臣
中谷 元

  今、自民党の中では、「憲法9条をいったいどうするのか」という課題が今年の最大の政治テーマになっています。「憲法9条は改正しなければならない」ということは、もう皆さまに改めて説明する必要はないと思います。 まず9条全文を紹介します。「一 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。二 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」     憲法9条の原点   憲法9条の原点はポツダム

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「現行憲法改正に思う」
森 勉(日本国防協会理事長)
平成30年1月

自由民主党は結党以来自主憲法制定を党是とし地道な努力を行ってきた。しかしながら、戦後のわが国の世論は護憲・改憲に分裂し激しく対立してきた。最近では北東アジア情勢の緊張もあってか、平成12年には衆参両院に憲法調査会の設置、平成22年には憲法改正国民投票法の施行、平成24年には自由民主党が「日本国憲法改正草案」を発表する等現行憲法改正の議論が活性化してきた。 安倍政権は現行憲法の改正に前向きに取り組んでおり、やや唐突であったが昨年5月の憲法記念日に、現行憲法9条1項・2項をそのままにして3項に自衛隊の存在を銘記し、根強く存在する自衛隊違憲論を払拭する案を提示した。又先の衆議院選挙においても現行憲法

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