[現下の世界情勢と日本の歩むべき道]
第8代ユネスコ事務局長
松浦 晃一郎 氏

 

一.はじめに

皆さんこんにちは。ご丁寧なご紹介をいただき恐縮に思っています。
今日は「現下の世界情勢と日本の歩むべき道」ということでお話をさせていただきます。これまでの国防問題講演会の一覧を拝見しますと、ちょうど4年前に、外務省の先輩の岡崎久彦氏が「現下の国際情勢と日本外交」という演題でお話しになっておられます。残念ながら、どういうお話をされたか詳しくは存じませんが、岡崎さんは私の尊敬する先輩の一人で、安倍総理にも近い方で、きっと立派なお話をされたと思います。
今回、私はあえて「日本の歩むべき道」という表題にさせていただきました。出だしの「現下の世界情勢」というところは、岡崎さんの「国際情勢」と同じですが、そのあと、私は敢えて「日本外交」ではなく「日本の歩むべき道」とさせてもらいました。なぜかと申しますと、一般に外交というと、政府或いはその時の政権が中心になって、世論の動き更には国会議論等いろいろな点を踏まえて推進するということになり、まさに私自身外務省に40年間奉職し、そういう外交に携わっていたわけです。しかし今の時代は、政府が行う外交を中核としながらも、もっと広く捉えて「日本全体をどういう方向に持っていくのか」ということが重要になります。そして、そのために「日本国民一人ひとりにどのような問題意識を持ってもらうのか」を明らかにしながら、これから皆さんとともに「日本の歩むべき道」について考えていきたいと思います。

 

 

二.第二次大戦後の世界情勢の推移

第1フェーズ「東西冷戦」、第2フェーズ「アメリカ一強」から第3のフェーズへ
はじめに世界情勢の分析を行い、それを踏まえて「日本の歩むべき道」ということについて私の考えをお話ししていきたいと思います。
第2次世界大戦が終わって70年になりますが、第1フェーズ「東西冷戦」、第2フェーズ「アメリカ一強」から今まさに第3のフェーズに入り、世界の情勢が流動化してきています。そして、その次の新しい国際秩序がなかなか見えてこないのが、今の状況ではないかと思います。そういう中で日本の歩むべき道を考えていくわけですが、世界情勢については不確定な要素が多く、そう簡単なことではありません。非常に難しい時代に入ってきていると思っています。

「東西冷戦」は第2次世界大戦後の1947年に始まり、89年にベルリンの壁が崩れて、1991年ソ連邦が崩壊するまで続きます。大雑把に言えば、アメリカとその同盟国、ソ連とその同盟国の両者の間で、情報戦、第三国を通じて行う代理戦争などを除き、本格的な熱い戦いが無かった状態を冷戦と言っていました。もちろん国際的平和という観点からは望ましい状態ではなく、実際に周辺地域での紛争は起こっていましたが、世界的に見ればそれなりに国際秩序は保たれていました。
第2フェーズ「アメリカ一強」の時代に移る過程で、ソ連邦、ユーゴスラビア連邦の解体などが続いて生起するなど、混乱の時期がかなり続きました。ベルリンの壁が崩れた時、私は外務省に籍をおいており、ソ連邦解体の直前に西ドイツの村田大使と意見を交換しましたが、「この先、どのように情勢が展開していくのか」、将来の予測が難しかったことを覚えています。
今、第2のフェーズが終わろうとしている中、2010年代から始まった第3のフェーズは、全体として流動的な様相を示しています。その特徴を分析しますと、次の5つに分類できると思います。いわば「5つの混乱要素」です。

 

 

三.混乱している世界情勢

第1の混乱要素 ~アメリカ一強時代の終焉~

第1の混乱要素は、何といっても「アメリカ一強の時代」が崩れたことです。トランプ大統領は「アメリカファースト」を掲げ、アメリカ国民の支持を得て政権を獲得しました。
申しあげるまでもありませんが、アメリカの大統領予備選挙が始まった段階では、アメリカの政治評論家は「ドナルド・トランプ氏はどこかで消える」と見ていました。アメリカでは予備選挙のピークは3月初めになりますので、「去年の3月初め頃までにはトランプは消える」と思っていたわけです。更に言えば「トランプが共和党の候補になる可能性はない」というのが一致した見方でもあったわけですが、ご承知のように、逆にどんどん力をつけてきて共和党の候補になってしまいました。
続いて「対立候補の民主党のヒラリー・クリントン氏に勝つということ」もまた予測できませんでした。クリントンにまつわるエピソードはいろいろありますが、私に言わせれば、何といってもアメリカ国民、少なくとも白人を中心としたアメリカ国民が、それまでのアメリカの在り方に対して疑問を持ったことが、トランプがクリントンに勝った大きな要因です。クリントンはいわばエスタブリッシュメントの代表であり、それに対してトランプはアンチ・エスタブリッシュメントと見られており、「従来と異なる新しい考えでアメリカを立て直して欲しい」と、多くのアメリカ国民が思いはじめたことが、トランプ大統領の実現につながったと思っています。

大統領就任後のトランプ大統領については、マスコミ報道その他でご存じだと思いますが、選挙戦を通じ或いは大統領就任早々から言ってきたことについてどんどん軌道修正がなされています。議会の共和党指導者たちともなかなか意見の一致を見ることができず、アメリカは議会の力が強いですから、その結果、軌道修正を余儀なくされていると思われます。しかし、このような軌道修正にもかかわらず、トランプ大統領がまだそれなりの支持を得て大統領の職務を遂行しておりますのは、彼の基本的姿勢はかなり多くの国民から支持されているということでしょう。
どういうことかと申しますと、これまでのように、世界の秩序を維持するために、アメリカが世界各地に軍事力を展開して人とお金を注ぎ込むということは、もはやアメリカ国民の支持を得られなくなってきています。アメリカの経済力は相対的に下がってきています。私は警察国家という言葉はあまり使いたくないのですが、「アメリカは世界の警察国家」ということに対するアメリカ国民の不満が相当大きくなってきていると思います。アメリカが人やお金など大きなエネルギーを投入しても、「中東では却って混乱をもたしているのではないか」、「アメリカは一体何のためにしているのか」などというアメリカ国民の反感が燃えあがってきています。世界秩序のためというアメリカの対外活動が内政にも跳ね返ってきているのです。このような事情が、当初よりはトランプ大統領の人気に翳りが見えてきていますが、トランプ大統領が掲げている「アメリカファースト」という考えにアメリカの白人を中心とした国民が賛同し、トランプ大統領がまだ支持されている理由ではないでしょうか。

 

第2の混乱要素 ~西欧の変化~

アメリカは以上のような状況ですが、2番目の混乱要素として挙げられるのは「西欧の変化」です。実は、「アメリカ一強」を支えてきたのは、マーストリヒト条約で象徴される「EUの拡大と深化」にあったと私は思っています。
西欧は近現代において、仏独戦争、第1次世界大戦、第2次世界大戦といずれもフランスとドイツの対立を中心に多くの戦争を経験してきましたが、大戦後、仏独は対立を克服して和解し、まず6ヶ国による欧州石炭鉄鋼共同体という自由貿易共同体を作ったところから始めて、現在28ヶ国から成るEUに拡大しています。なかでも、ソ連邦圏の崩壊に伴い誕生した東欧の多くの国々、またバルト三国の参加などは、EUの拡大・深化を象徴する重要なできごとだったと思われます。
一方昨年は、EUにとって将来をも左右しかねない大きなできごとがありました。ご承知のように「ブレグジット(英国のEU離脱)」ということで、イギリスがEUから脱退することになりました。2年間の交渉期間がありますが、現在EUとイギリスの離脱交渉は難航しています。イギリス国内のみならず政権の中でも意見が分かれている状態ですので、EUとイギリスの関係がどうなるのか心配です。離脱交渉が円滑に進展して全ての問題が解決し、双方が納得する新しい形でEUとイギリスの経済提携が構築されるシナリオの実現はそう簡単ではありません。逆に「ハード・ブレグジット」、即ち、両者の間で合意ができないまま2年の交渉期間が過ぎ、イギリスとEU各国との間で新しい経済関係をどのようにするかということが決まらず、「イギリスがEUの単一市場へのアクセスを失う」状態に陥る可能性がかなり高まってきたのではないかと思います。

これまでの「EUの拡大と進化」は、西欧というものを一つにまとめて、アメリカと手を結んで「アメリカ一強」を支えてきましたが、それが今は「ブレグジット」の大きな影響を受けようとしています。今、EUには2つの現象が起こっています。
皆さんもお気付きなように、EUの主要メンバー特にドイツとフランスでは極右勢力が台頭してきています。この極右勢力というのは、トランプ大統領が提唱している「アメリカファースト」にも似た考えです。そのうち象徴的なものが「移民の排除」になりますが、そこまで行かなくても、もっと広範な分野でそれぞれ自分の国の国益をまず第一に考えようというものです。私に言わせれば「アメリカファースト」もそうですが、EUの極右勢力が言っているような「国益ファースト」は、国益というものを非常に短期的に狭く定義して考えているのではないかと思えてなりません。アメリカファーストについても、「多人種国家であるアメリカという国は、皆がまとまって中期的なアメリカの利益を追求する」という観点から見れば、トランプ大統領の一連の発言が矛盾しているということは歴然としていると思います。短期的にみると移民の抑制などは、今のアメリカ国民、特に白人中心の人たちには受け入れられても、中期的には人材の補給という面で経済的発展にも影響が及んでくると思われます。同じようなことが、EUの主要国における極右勢力の台頭についても当てはまると思います。

もう一つの現象は、まだEU全体には広がっていませんが、最近新聞で、スペインのカタルーニャ州独立問題が報道されているように、EUの一部地域の独立問題です。私はユネスコ時代に、何度かカタルーニャ地方を訪れたことがあります。カタルーニャ州では、スペイン語(カスティーリャ語)とカタルーニャ語が公用語とされています。私はスペイン語ができますので、スペイン語でスピーチを用意して行ったら、「スペイン語でのスピーチは止めてほしい」と言われました。スペイン語でスピーチでなく、英語かフランス語でやってくれということです。スペイン語は元々ラテン語から生まれた、カスティーリャというマドリードを中心とした地域の言葉です。ですから、カタルーニャの人たちから見れば、スペイン語というのはカタルーニャとは異なるカスティーリャの言葉であり、スペイン全体の言葉ではないという思いが強いわけです。そこでせっかくスペイン語で用意していたのですが、急遽カタルーニャ語を教わって、よく意味は分かりませんでしたが、最初はカタルーニャ語でスピーチをして、あとはフランス語に切り替えたのを覚えています。もう15年も前になりますが、カタルーニャの人たちが、カタルーニャ語に誇りを持ち、スペイン語よりも優先していることを強く感じました。それが今回の独立運動にもつながっているのでしょう。民衆の意見は真二つに割れているようです。
同じような動きがイギリスのスコットランドにも見られます。スコットランドについては、この間の総選挙でスコットランド民族党がかなり票を失いましたから、今はちょっと下火になっています。さらにブレグジットに関連して北アイルランドの問題があります。日本ではあまり報道されていませんが、北アイルランドはご承知のように、アイルランドと一緒になるべきだと主張するカトリック教徒と、イギリスと結びついていくべきだというプロテスタントの対立が続いています。北アイルランドの動向にも注意が必要です。そのようなことで、西欧もブレグジット、極右勢力の台頭、一部地域の独立運動など多くの問題を抱えています。

 

第3の混乱要素 ~中国の急激な台頭~

3番目は何といってもアジア太平洋における中国の急激な台頭です。経済力では2010年にGDPで日本を追い越して、その後日本との差はどんどん開く一方で、いずれアメリカをも追い越すのではないかと言われています。それに伴い、軍事力の増強にも力を入れ、中国は伝統的に大陸国家ですけれども、今では海洋国家として海軍力を強化してきています。 少し前になりますが、アメリカと中国の首脳会談で「太平洋をアメリカと中国で半分にしよう」という信じがたい話が中国側から真面目に提案されるような事態にまでなっています。アジア太平洋においては、そのような中国の経済力・軍事力を背景にした政治力というものがどんどん高まってきていますが、新しい秩序はまだ見えてきていません。もちろんその過程では、中国によるASEAN諸国の取り込みも行われるのでしょう。最近は「一帯一路」ということで、海路もふくめて中国とヨーロッパを繋ぐ「シルクロード構想」が提唱されています。新興国も含めて、シルクロードに関係する国との提携強化ということで、中国は活発な活動を行っています。
さらに言えば、中国は国際的にも発言権を高めてきています。私のユネスコ時代の話になりますが、当時は日本の力が強く、ユネスコをしっかりと支えてもらいましたが、次第に中国も経済力をつけてきまして、ユネスコ関係も含めて、大きな国際会合の場に中国を招くということが多くなりました。そして、ユネスコの各国代表の招待外交の活発化、これは日本が一時期盛んに行っていました。更にはユネスコ事務局への中国人の登用などですが、当時は中国にはそのような人材はそんなにおりませんでした。いずれにせよ中国は、日本のマスコミで報道されている以上に、アジア太平洋地域のみならずグローバルに勢力を拡大し活動を活発化させてきています。中国の進出といえばよくアフリカの例が紹介されていましたが、今ではアフリカのみならずオセアニア、カリブ海などいろいろなところに中国の姿が見えます。このように経済力を背景に、中国政府は大きな資金力を活用して世界の舞台で急速に台頭してきてはいますが、先ほどのアジア太平洋地域と同様に、中国を含めた新しい国際秩序というものはまだ見えてきていません。

 

第4の混乱要素 ~北朝鮮の核開発~

4番目は申し上げるまでもなく、東アジアの緊張、北朝鮮の核開発の進展という問題です。私もユネスコ時代に2度北朝鮮に参りました。日本のパスポートは使えませんので、国連発行の「レセパセ(パスポート)」を使用して渡航し、主として北朝鮮の文化遺産保全活動のためにユネスコとして協力したことがあります。いずれも金正日体制の時代ですが、その時は南北朝鮮対話が行われていまして、私が最初に行ったのは2000年で、ちょうど南北サミットが開かれて、金大中大統領が訪問された2週間後のことでした。北朝鮮では丁重に扱っていただき、迎賓館では金大中大統領が宿泊した部屋に泊めていただきました。
その後金正恩体制になって、ご承知のように益々北朝鮮の動きが予測不可能になってきました。核開発問題については、「対話で核武装を止めさせるのか」、「圧力で止めさせるのか」といろいろ議論されていますが、私の見るところ、金正恩体制が続く限り、北朝鮮が核兵器を放棄することは考えられないと思っています。にもかかわらず私は、圧力をかけながらも同時に対話が必要だと思っています。圧力だけでは問題はなかなか解決しません。中国・ロシアの態度を見てもお分かりのように、特に最近ロシアが北朝鮮問題に力を入れてきていますから、両国の支援により国際的な制裁といえども残念ながら限界があり、北朝鮮はその制裁を乗り越えて核戦力を強めていく体制を深めていると思っています。かといって、武力行使で金正恩体制を崩すということは、私は取るべきではないと思っています。圧力をかけながらも、対話により東アジアの緊張の高まりをどうやって解決していくのか、引き続き努力を継続していかなければなりませんが、残念ながら今の段階では確とした見通しは得られていません。

 

第5の混乱要素 ~中東の混乱~

最後の5番目は中東になりますが、この地域では混乱が続いています。中東には3つの対立があります。1つは国家間の対立です。典型的なのは、サウジアラビア対トルコ・イランの対立です。トルコは厳密には中東と言えないところもありますが、歴史的にイランと良好な関係があり、サウジアラビアとは対立関係にあります。
国家間の対立に加えて民族対立があります。アラブ人、イラン人(ペルシャ人)、クルド人、トルコ人などの民族対立に加えて、宗教対立、特に回教徒の中のスンニ派とシーア派の対立が事態を深刻にしています。また、イスラエル問題は今それほど表面化していませんが、イスラエルを含めてキリスト教と回教の対立も依然として存在しています。いずれにしても、中東での混乱も見通しは立っていません。(注:その後トランプ大統領がイスラエルの首都をイスラエルの主張どおりにエルサレムであることを認め、そのエルサレムにアメリカの大使館をテルアビブより移籍することを発表して以来、アラブ諸国とイスラエルの緊張関係が高まっています。)
少し前、北アフリカにおいては「アラブの春」と言われた民主化要求運動が起きました。しかしながら、私は「アラブの春」という言葉自体は間違っていると思います。私はたまたまユネスコ時代にチュニジア、リビア、エジプトは何度も訪れました。その中で、リビアのカダフィ大佐とは個人的にも親交していましたが、カダフィ氏の軍事政権による強権的な「カダフィ体制」は批判されてもやむを得ませんが、彼が行った国内政策は間違っていなかったと思っています。彼が政権を取る前は、国内は東西に分裂して対立している状態でしたが、それを一本化することに成功しました。彼は石油で個人的に資産を作ったということは全くありません。私が最初に行ったときは、庭の中でテント生活をしており、その中で会談をしました。2度目は自宅の図書館でお会いし、その後もいろいろなところでお会いしました。内政においては、彼はそれまでの王政時代の政治を一変させ、まず石油事業を国有化して、その収入をもって国民生活の向上を実現し、国内のインフラを整備していきました。あまり報道されていませんが、リビア砂漠の地下を深く掘削して地下水を汲み、水道として配管するということに力を入れていました。決して「カダフィ体制」を弁護するつもりはありませんが、内政で国民生活向上には成果をあげていたのを、「アラブの春」と呼ばれる政治の波で問答無用と一方的に倒してしまったことには、私は引っかかりを覚えています。現に今でもリビアでは混乱が続いています。
現在、チュニジアは何とか収まっていますが、エジプトでは逆に反動が起こっています。リビアも含めてこれらの国の状況を見るにつけて、民主化要求運動は評価しますが、「アラブの春」の「春」という言葉自体には大きな違和感を持っています。
しかし、何といっても状況がもっとも深刻なのはシリアとイラクです。先ほど申し上げた国家、民族、宗教の一連の対立が持ち込まれて混乱は続いており、回復の見通しも立っていません。

 

以上、「アメリカ一強」の第2フェーズから第3のフェーズに移る過程の中の「5つの混乱要素」について見てきました。第1フェーズの「東西冷戦」が終わって「アメリカ一強の時代」に移行するときにも混乱は生じましたが、次はアメリカの一強体制になるだろうということは予測できたわけで、それに伴いどのような情勢が生起してくるかということもかなり見通すことができました。しかし、「アメリカ一強の時代」から次のフェーズに移っていく現在の過程においては、新しい建物が何を柱にして、どのような土壌に建てられていくのか、まだ明確にはなっていません。さきほど述べました「5つの混乱要素」、特にアメリカの立ち位置がもう少しはっきりしないと確かなことは言えません。
1年後にはアメリカの中間選挙がありますが、共和党の上院、下院の指導者もトランプ大統領とは足並みが少しずつ違ってきているように思われます。次期大統領選挙は今から5年後になります。アメリカについては内政の動きに特に注意をして、アメリカが今後どういう方向に進んでいくのか見ていくことが大切です。
先ほど、西欧社会における混乱を示すものとして、3つの問題に触れましたが、中でも重要なのは何といっても、「ブレグジット」によりEUとイギリスの関係がどうなっていくのかということです。今はまだお互いの警戒感が続いていますが、それが終わって交渉が進展していくのか、または「ハード・ブレグジット」で完全な喧嘩状態に入っていくのか、これから注目していかなければいけません。
中国の台頭については、アメリカを追い越すと言われている経済力を背景にし、海洋国家としての海軍力を強化してアジア太平洋に進出するなど、中国が如何にグローバルパワーを確立し、どのような政策を打ち出していくのかが注目点です。
北朝鮮に対する見通しは更に難しいものがあります。そして中東の動向も踏まえて、そのような中で「日本がどういう道を歩むべきか」を考察する前提として、現在の世界情勢における焦点と今後の注目点についてお話ししてきましたが、それでは次に、「日本の歩むべき道」について、具体的に考えていきたいと思います。

四.日本の歩むべき道

以下、機関誌「日本の国防 平成30年7月 盛夏号」(参照:斡旋品販売キャンペーン欄)

 

<後段>
内政と外交の連携
日米同盟の深化
中国、ロシアとの対話
国内問題の解決 ~外国人労働力の活用~
対外関係の積極的推進 ~日本の文化力の発揮、日本モデルの発信~

(平成29年10月11日 公益財団法人日本国防協会国防問題講演会講演録より)